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ドローン警備の仕事とは?年収や必要資格を徹底解説

ドローン警備とは?注目される背景と特徴

ドローン警備とは、警備員の代わりにドローンを活用して施設や広範囲の監視・巡回を行う新しい警備形態です。空からの監視により死角が少なく、人が立ち入りにくい場所でも効率的に警備できる点が大きな特徴となっています。

近年、警備業界では深刻な人手不足が課題となっています。警察庁の資料によれば、全国58万人の警備員のうち、60~69歳が26.9%、70歳以上が19.2%を占めており、警備員の高齢化が進行しています。また、2024年2月度の保安業の有効求人倍率は7.16倍と、全体の有効求人倍率1.26倍と比較しても極めて高い数値を示しています。

こうした背景から、新技術を活用した機械警備の導入による警備員の負担軽減が期待されているのです。特にドローンは、自由に移動できるカメラとして死角を減らし、広範囲を効率的に監視できることから注目を集めています。


上空から施設を監視するセキュリティドローン

ドローン警備の主な活用シーンと将来性

ドローン警備は現在、様々な場面での活用が始まっています。その代表的な活用シーンを見ていきましょう。

施設内の監視と不審者追跡

工場や発電所などの施設内を巡回し、不審者や不審火などの異常がないか監視します。センサーが異常を検知すれば、ドローンがすぐに現場に急行。カメラで不審者の容姿や車のナンバープレートなどを撮影し、重要な証拠を押さえることができます。

不審者が逃走しても、空からの追跡が可能です。車で逃げられても引き離されにくく、現在地を正確に捉え続けることができるのは大きな利点です。

広範囲の巡回監視

ドローンは上空から警備エリアを見渡せるため、効率よく巡回監視が可能です。監視カメラのように定点で限られた範囲を撮影するのではなく、自在にアングルや遠近を変えられるので、広い範囲をくまなく監視できます。

イベント会場やレジャー施設、スポーツ大会の会場など、大勢の人が集まる場所での異常発見にも効果を発揮します。実際に、東京スカイツリーのお膝元ソラマチ商店街では警備会社による実証実験が行われ、屋外はもちろん屋内でもドローンによる警備の活躍が期待されています。


ドローンによる広範囲の巡回監視システム

夜間や人員減少時の監視強化

自律飛行できるドローンであれば、警備の数が減る夜間などの時間帯も監視を継続できます。夜間のオフィスなど、日中に比べ警備の数が少なくなる時間帯でも、自律型のドローンであれば警備体制が手薄になる状況を防げます。

ドローンにはカメラ以外にも赤外線センサーなどを搭載でき、夜間でも問題なく監視が可能です。さらに、警備と同時に混雑状況の把握や施設の稼働状況の把握など、付加価値のある情報も取得できる点もメリットとなります。

ドローン警備の将来性

現状、工場や発電所内の巡回警備、敷地内監視などですでにサービスを提供している企業が複数あります。また、さらなる利用拡大に向け、様々な実証実験が行われています。

2024年2月には、東京・台東区浅草の浅草寺で行われた「節分会」で警察庁が都内初となるドローンによる警備を実施。4月には、ドローンを専門とする「小型無人機係」が警視庁警備部に新設されたという報道や、選挙遊説などでの要人警護の強化のため、全都道府県警で上空から現場を監視する警護用ドローンの配備が完了したとの発表もありました。

また、「ドローン警備事業者認証ガイドライン」「警備分野における無人航空機の安全な運用方法に関するガイドライン」などの整備検討も進められており、今後、警備業界でのドローンの利用拡大が見込まれています。


ドローン警備に必要な資格と条件

ドローン警備の仕事に就くためには、いくつかの資格や条件が必要です。ドローン操縦と警備、両方の専門知識が求められる点が特徴的です。

警備関連の必要資格

ドローン警備は「機械警備」に分類されるため、「警備員指導教育責任者」を配置した環境下で「機械警備業務管理者資格」を持つ人が操縦する必要があります。

機械警備とは、監視カメラや赤外線センサーをはじめとしたセンサー等の機械を利用し、機械と人が連携した警備のことを指します。ドローン警備を行うには、まず警備の資格が必須となります。

ドローン操縦に関する資格

ドローンの操縦には、民間資格と国家資格があります。2022年に導入された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」は、ドローンに対する知識やスキルを証明する重要な資格です。

ドローンの飛行は4つのレベルに分かれており、レベルによって飛行できる場所や条件が異なります。無人航空機操縦士の資格は、一等と二等の2種類があり、一等資格はレベル4を含むすべての飛行が可能です。


ドローン操縦技能訓練の様子

民間資格には、JUIDAドローン資格、DJI CAMP、DPA認定資格などがあります。民間資格の取得者はドローン経験者として扱われるため、国家資格の学科や実技において、時間も費用も大幅に抑えられるメリットがあります。

民間資格を取得してから国家資格を目指す手順が、効率のよい資格の取得方法といえるでしょう。

その他の関連資格

ドローン操縦で知っておくべき資格として、電波法関連の資格もあります。電波は電波法により規制されているため、周波数帯によっては無線資格が必要になるケースがあります。

産業用途(5.7GHz帯)で使用する場合は、第三級陸上特殊無線技士以上、FPVドローン(5.8Ghz帯)を操縦するには、第四級アマチュア無線技士の資格が必要です。

また、ドローンによる測量に従事するためには、「測量士」「測量士補」の資格が必要となります。これは国土地理院が認定する国家資格で、空中写真の撮影や撮影した写真を処理するなどの業務が可能になります。


ドローン警備の仕事のメリットとデメリット

ドローン警備の仕事には、いくつかのメリットとデメリットがあります。これから目指す方は、両面を理解した上で検討することが大切です。

メリット

ドローン警備の仕事の主なメリットは以下の通りです。

まず、迅速な対応が可能な点が挙げられます。カメラのアングルや遠近を自由に調整できるドローンは、警備員よりも広範囲を監視できます。警備員の死角になりやすい建物の陰なども、ドローンによって容易に監視可能です。

何か異常があった場合、ドローンなら空中から現場に向かえるため、警備員よりも迅速に対応できます。ドローンと警備員の連携を密にすれば、より柔軟な警備体制を敷けるようになるでしょう。

次に、人手不足の解消に貢献できる点です。警備業界では深刻な人材不足が続いています。警備における人材不足は警備の質の低下を招き、トラブルのもととなりかねません。

ドローンを活用すれば、人材不足を解消するとともに、警備体制や監視体制の強化が図れます。ドローンにセンサーやサーチライト、スピーカーなどの機能を搭載すれば、警備員が現場に行かなくても警告や異常を検知可能です。

さらに、防犯効果が高まる点も大きなメリットです。ドローンは上空から広範囲を監視でき、適宜機材を追加すれば、暗視も可能です。警備員よりも迅速に対応できることから、犯罪の発生を抑制し、防犯効果のアップが期待できます。


ドローン警備の効果を示す図

デメリット

一方で、ドローン警備にはいくつかのデメリットも存在します。

まず、資格取得の必要性です。前述の通り、ドローン警備を行うには警備関連の資格とドローン操縦の資格の両方が必要となります。資格取得には時間とコストがかかるため、参入障壁が高くなっています。

次に、コスト面の課題があります。高性能なドローンや関連機器の導入には相応の投資が必要です。また、バッテリー交換や定期的なメンテナンス、保険料なども考慮する必要があります。

さらに、警備ミスや事故のリスクも考慮すべき点です。ドローンは機械であるため、故障や操作ミスによる事故の可能性があります。また、悪天候時には飛行が制限されるなど、常に安定した警備を提供できるわけではありません。


ドローン警備の年収と将来性

ドローン警備の仕事の年収や将来性について見ていきましょう。

ドローン警備の年収相場

ドローン警備に特化した明確な年収データはまだ少ないですが、一般的なドローンパイロットの年収と警備業の年収から推測することができます。

ドローンパイロットの年収は経験や技術レベル、所属する企業によって大きく異なりますが、一般的には300万円~600万円程度と言われています。特に高度な技術や専門知識を持つ場合、年収700万円以上も可能です。

警備業の年収は職種や役職によって異なりますが、一般的な警備員の年収は300万円前後、警備責任者クラスで400万円~500万円程度となっています。

ドローン警備は両方の専門性を兼ね備えた職種であるため、一般的な警備員よりも高い年収が期待できると考えられます。特に、機械警備業務管理者資格や無人航空機操縦士の資格を持っている場合は、さらに年収アップが見込めるでしょう。

将来性と需要の高まり

ドローン警備の需要は今後さらに高まると予想されています。警備業界の人手不足が深刻化する中、ドローンを活用した効率的な警備システムへのニーズは増加傾向にあります。

また、技術の進歩により、ドローンの飛行時間や機能が向上し、より高度な警備が可能になっています。AI技術との連携により、不審者の自動検知や異常行動の察知など、さらに効率的な警備システムの開発も進んでいます。

2023年末には、ドローン事業の促進のため、国土交通省によりレベル3.5飛行制度が新設されました。この制度により、一定条件を満たせば、目視できない範囲でも、移動中の車、列車や船舶の上空を一時的に横断する飛行ができるようになりました。

このように規制が徐々に緩和されてきており、ドローンの活躍がますます進んでいくことが予想されます。警備業界とドローンの相性は良く、今後のさらなる活用が期待されています。


ドローン警備の仕事に就くには

ドローン警備の仕事に就くためのステップを見ていきましょう。

必要なスキルと適性

ドローン警備の仕事に向いている人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

まず、判断力があり臨機応変な対応ができることが重要です。警備の現場では予期せぬ事態が発生することもあります。状況を正確に判断し、適切な対応ができる能力が求められます。

次に、想像力を持ちリスクや計画を想定できる点も大切です。警備においては、起こりうるリスクを事前に想定し、対策を立てておくことが重要です。また、ドローンの飛行計画を立てる際にも、様々な状況を想定する必要があります。

さらに、学び続ける姿勢も欠かせません。ドローン技術は日々進化しており、法律や規制も変更されることがあります。常に最新の情報を収集し、スキルアップを図る姿勢が求められます。

体力面では、長時間の集中力や屋外での活動に耐えられる体力も必要です。特に現場での警備活動では、体力が求められることもあります。

キャリアパスと就職方法

ドローン警備の仕事に就くためのキャリアパスはいくつか考えられます。

一つ目は、警備会社に就職し、その後ドローン操縦のスキルを身につける方法です。すでに警備の知識や経験がある状態でドローンのスキルを追加することで、ドローン警備の専門家を目指せます。

二つ目は、ドローンパイロットとしてのスキルを先に身につけ、その後警備業界に参入する方法です。ドローン操縦の技術を持っていれば、警備会社でも重宝される可能性が高いでしょう。

就職方法としては、求人サイトや転職サイトを利用して仕事を探す方法があります。「ドローン 警備」などのキーワードで検索すると、関連する求人が見つかることがあります。

また、ドローンと関連性の高い職業に就くことも一つの方法です。測量会社やインフラ点検会社など、すでにドローンを活用している業界で経験を積み、その後警備分野に移ることも可能です。

副業から始めるという選択肢もあります。本業を持ちながらドローンの操縦技術を磨き、徐々にドローン警備の分野にシフトしていくことも可能です。

ドローン業界での仕事を探している方には、「ドロテン」というサービスもおすすめです。業界初のドローンに特化した副業・転職紹介サービスで、ドローン関連の求人や案件を専門的に扱っています。正社員としての転職だけでなく、副業としてのドローン関連の仕事も紹介しているため、ドローン警備に興味のある方にとって有用なプラットフォームとなるでしょう。

ドローン警備は、技術の進化と社会のニーズの高まりにより、今後さらに発展が期待される分野です。必要な資格やスキルを身につけ、この成長産業でのキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。

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