未経験からドローン測量に転職する手順|「資格を取る順番」を間違えないための3ステップ

未経験からドローン測量の仕事を目指すとき、最初にやるべきことはドローンスクールに申し込むことではありません。まず確認すべきなのは「自分が狙う求人は、測量法側の制度に関わる仕事か、そうでないか」です。ここを飛ばして操縦資格から手をつけると、時間と費用をかけたのに求人要件と噛み合わない、という遠回りが起きます。
この記事では、未経験からドローン測量に転職するための手順を3ステップに整理します。各ステップで何を確認し、何にいくらかかるのかまで書いていますので、順番どおりに進めてください。
なぜ「ドローン測量への未経験転職」は遠回りしやすいのか
未経験者がつまずくポイントは、おおむね次の3つに集約されます。
- 航空法の資格と測量法の資格を混同している:ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)は「飛ばすこと」に関する制度であり、「測量成果の品質」を担保する制度ではありません。測量会社が求めるのは、多くの場合まず測量士補です。
- 「飛ばす仕事」だと思い込んでいる:ドローン測量の実務時間の大半は、撮影計画の作成、標定点の設置、解析ソフトでの点群生成、成果品の整理です。操縦技術だけを磨いても実務には直結しません。
- 求人を業態で切り分けていない:測量会社、建設コンサルタント、建設会社、ドローンサービス事業者では、求められる資格も育成のされ方も違います。全部を同じ「ドローン測量求人」として見ていると、応募先を絞れません。
前提として、ドローンによる測量はすでに公的な制度に組み込まれています。測量法第34条に基づく作業規程の準則には、2020年(令和2年)にUAV点群測量を含む「第4編 三次元点群測量」が新設され、2023年(令和5年)にはUAVレーザ測量などが追加されました。つまりこの仕事は「新しいから資格が要らない」領域ではなく、すでに基準が整った領域です。
ステップ1:狙う業態を先に1つに絞る
最初にやるのは、資格の勉強でも機体の購入でもなく、応募先の業態を決めることです。業態によって、次のステップで取るべき資格が変わるためです。
| 狙う業態 | 主な仕事 | 最優先で検討する資格 | 未経験からの入り口 |
|---|---|---|---|
| 測量会社 | 公共測量・民間測量 | 測量士補 | 補助作業・アシスタント職 |
| 建設コンサルタント | 調査・設計に使う地形データ取得 | 測量士補 | 技術職の育成枠 |
| 建設会社・施工会社 | 起工測量・出来形管理 | 施工管理関連の知識 | 施工管理職としての採用 |
| ドローンサービス事業者 | 計測・点検の受託 | 案件による | 操縦・データ処理職 |
測量会社を狙うなら、資格の位置づけは特に重要です。測量法第55条の13第1項では「測量業者は、その営業所ごとに測量士を1人以上置かなければならない」と定められています(国土交通省中部地方整備局の解説資料)。測量士・測量士補は、その会社にとって「あると嬉しい資格」ではなく、事業の前提条件です。
業態ごとの違いをもう少し詳しく比較したい場合は、ドローン測量の転職先はどう比較する?「誰の発注で飛ばすか」で5タイプに分ける企業の選び方を先に読んでから戻ってきてください。
このステップで具体的にやること
1. 求人サイトで「ドローン 測量」と検索し、出てきた求人を上記4業態に仕分ける 2. 各求人の「必須資格」「歓迎資格」「配属先」「業務内容」の4項目だけを抜き出して一覧にする 3. 「資格取得支援あり」と書かれている求人に印をつける
この作業を20〜30件分やると、自分が現実的に応募できる業態が見えてきます。
ステップ2:測量士補の取得を検討し、同時に応募を始める
業態が測量会社・建設コンサルタント寄りに決まったなら、次に検討するのは測量士補です。
測量士補になるための2つのルート
測量士補の資格要件を満たす方法は2つあります。
1. 測量士補試験に合格する 2. 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設を卒業する
いずれかで要件を満たしたうえで、国土地理院への登録申請を行うことで測量士補になります。登録には登録免許税が必要で、登録申請自体に期限はありません。
試験の位置づけを数字で確認する
国土地理院の公表によれば、令和8年測量士補試験は受験者12,269名に対し合格者5,447名、合格率44.4%でした(令和8年測量士補試験の合格者を発表)。参考までに、令和7年測量士試験は受験者3,703名に対し合格者1,487名、合格率40.2%と公表されています(令和7年測量士試験の合格者を発表)。
合格率は年によって変動するため、ある年の数字だけを見て難易度を判断しないでください。受験を検討する際は、測量士・測量士補試験及び登録のページで、複数年の過去問と受験案内を確認するのが確実です。試験は年1回実施され、受験資格の制限はありません。
重要:資格取得を「待たない」
ここが最も遠回りしやすいポイントです。測量士補を取ってから応募しよう、と考えないでください。 試験は年1回であり、合格を待つと最大で1年近く空きます。
現実的な進め方は次の2本立てです。
- 並行して応募する:「資格取得支援あり」「歓迎資格:測量士補」の求人に、勉強中の状態で応募する
- 勉強の進捗を言語化する:面接で「いつまでに、どの試験を受けるか」を具体的に答えられる状態にしておく
未経験採用では、現時点の保有資格より「入社後に伸びるか」が見られます。取得予定を数字で語れることが、そのまま評価材料になります。
ステップ3:ドローン側の準備は「必要な範囲」で行う
測量士補の勉強と応募を進めながら、最後にドローン側の準備を整えます。順番を最後にしているのは、業態によって必要な範囲が大きく変わるからです。
無人航空機操縦者技能証明をどう考えるか
無人航空機操縦者技能証明には一等と二等があり、技能証明書の有効期限は3年間です。更新申請は満了日の6か月前から1か月前までに行う必要があります。また、技能証明は必ずしも必須ではなく、飛行の内容によって必要となるものとされています(国土交通省 無人航空機操縦者技能証明等)。
つまり、「測量の仕事に就くために国家資格が必須」とは言い切れません。会社がどの範囲の飛行をしているかによって、必要な等級も、そもそも必要かどうかも変わります。応募先が決まる前に一等の講習費用を投じるのは、費用対効果の面で慎重に判断すべきです。
一方、公共測量でUAVを使う場合、測量計画機関と測量作業機関は、航空法令や関連ガイドライン、国土交通省航空局が示す飛行ルール等を遵守し、十分に協議したうえで安全な公共測量を実施することが重要とされています(無人航空機(UAV)を用いた測量作業における安全確保について)。航空法のルールを理解していること自体は、どの業態でも前提になります。
解析ソフトに触れておく
操縦よりも実務直結度が高いのが、点群処理・写真測量ソフトの操作です。体験版や学習用データを使い、写真から点群を生成する一連の流れを一度自分で通しておくと、面接で話せる具体例ができます。「飛ばせます」より「SfM処理の流れを理解しています」のほうが、実務担当者には響きます。
未経験・独学で不安な場合の選択肢
独学で進めるのが難しいと感じる場合、次の選択肢があります。
- 測量士補の講座を使う:年1回の試験に確実に乗せたい場合、独学より計画を立てやすくなります
- ドローンスクールを使う:ただし「就職支援」の中身は必ず確認してください。紹介先が測量会社なのか、別業種なのかで意味が変わります
- まず関連職種で業界に入る:施工管理補助や測量補助として入り、働きながら資格を取る進め方です。未経験からの現実的なルートとして検討する価値があります
業界全体での最初の一歩の踏み方は、未経験からドローン業界でキャリアを始める方法|最初の3年で何を積むかを決める3ステップも参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q. ドローンスクールと測量士補、どちらを先にやるべきですか?
測量会社・建設コンサルタントを狙うなら、測量士補を先に検討してください。これらの業態では測量士・測量士補が事業の前提条件になっているためです。一方、ドローンサービス事業者を狙う場合は、操縦技術とデータ処理スキルのほうが直接的な評価対象になるため、順番が逆になることもあります。狙う業態を決めてから選ぶのが正解です。
Q. 測量士補を取れば、ドローン測量の仕事に就けますか?
資格は応募要件を満たすための条件であって、それだけで採用が決まるわけではありません。測量士補に加えて、普通自動車運転免許(現場が山間部に及ぶことが多いため)、データ処理の基礎、体力面での適性などが総合的に見られます。資格は「土俵に上がるための条件」と考えてください。
Q. 何歳まで未経験転職は可能ですか?
年齢だけで一律に線が引かれるわけではありません。ただし、未経験採用は入社後の育成を前提とするため、年齢が上がるほど「前職の何を活かせるか」の説明が重要になります。建設・土木・IT・製造などの経験は接続点を作りやすいので、職務経歴書で意識的に結びつけてください。
Q. 独学だけで測量士補に合格できますか?
受験資格の制限はなく、独学での合格も可能です。国土地理院のサイトでは過去5年分の試験問題と解答例が公開されているため、まず過去問を1年分解いてみて、自分に必要な学習量を見積もるところから始めるのが現実的です。
Q. ドローンを自分で買う必要はありますか?
未経験の段階では必須ではありません。業務で使う機体は会社が用意するのが一般的です。購入するとしても、まずは練習用の小型機で飛行感覚をつかむ程度で十分と考えられます。それより、航空法のルールと解析ソフトの理解に時間を使うほうが実務に直結します。
まとめ
未経験からドローン測量に転職する手順は、次の3ステップです。
1. 狙う業態を1つに絞る:測量会社・建設コンサルタント・建設会社・ドローンサービス事業者で、必要な資格が変わる 2. 測量士補の取得を検討し、合格を待たずに応募する:年1回の試験なので、待つと1年失う 3. ドローン側の準備は必要な範囲で行う:技能証明は飛行の内容によって必要となるもの。応募先が決まる前に高額な投資をしない
この順番を守るだけで、「資格は取ったのに求人要件と合わない」という最も多い遠回りは避けられます。まずはステップ1の求人の仕分けから、今日始めてみてください。
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著者:ドロテン運営事務局(ドローン業界特化の転職・副業紹介サービス「ドロテン」の編集チーム)


