本文へスキップ
ドローン業界の将来性 測量・建設ドローン求人

2026年の土木ドローン 求人トレンド|「直轄9割・自治体2割」と「測量は外注」の2つのギャップから需要の行き先を読む

2026年に土木分野でドローンの求人が増えるかどうかは、市場規模の伸びだけでは説明できません。読むべきは2つのギャップです。1つは発注者階層のギャップ(国の直轄工事と都道府県・市町村の工事で導入率が大きく違う)、もう1つは役割分担のギャップ(土木会社が機器を持っていても実作業は外注している)です。

この2つのギャップがどこで埋まるかが、そのまま求人が出る場所になります。この記事では公開データからその行き先を読みます。

建設分野全体のトレンドは2026年の建設ドローン 市場トレンド|「原則化へ」と「サービス市場の伸び」の2軸から需要の行き先を読むで扱っています。本記事は公共土木に絞った見方です。

前提:市場と政策はどちらも土木を向いている

まず背景として、2つの数字を押さえます。

市場側。 インプレス総合研究所の『ドローンビジネス調査報告書2026』によると、国内のドローンビジネス市場規模は2025年度に4,973億円(前年度比13.8%増)、2026年度は5,501億円(同10.6%増)、2030年度には9,544億円に達すると予測されています。このうち土木・建築分野は2025年度の427億円から2030年度に1,209億円へと、約2.8倍に伸びる見通しが示されており、点検に次ぐ市場規模に達する見込みとされています(出典:ドローンジャーナル)。

政策側。 国土交通省は令和6年4月16日に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍にすることを目標としました。生産年齢人口が2040年度には2020年度比で約2割減少すると予測されていることが背景として示されています。

つまり需要の方向は決まっています。問題は「どこに人が要るか」です。そこで2つのギャップを見ます。

ギャップ①:発注者階層で導入率が3倍以上違う

国土交通省がまとめたICT施工の実施状況によると、2024年度(令和6年度)の直轄土木工事におけるICT施工の実施率は公告件数の約9割に達しています。工種別の実施率は次のとおりです。

工種 実施率(令和6年度・直轄)
土工 89%(全体の実施率)
浚渫工(港湾) 100%
浚渫工(河川) 95%
地盤改良工 85%
舗装工 75%

一方、都道府県・政令市のICT土工は、実施件数は年々増加して直近で3,470件に達しているものの、実施率は24%にとどまっています(出典:国土交通省「ICT施工の実施状況」/中部地方整備局公開資料)。

このギャップが意味すること

直轄工事はすでに「やって当たり前」の段階に入っています。したがってこの領域で増えるのは、新規導入の支援ではなく実施の実務を回す人です。一方、都道府県・政令市は2割台から上がる余地が大きく、こちらは導入そのものを支援する側に仕事が生まれると考えられます。

求人を見るときは、応募先が直轄中心か自治体中心かで、入社後にやることが変わる可能性があります。

  • 直轄中心の会社:要領どおりに計測・書類作成を回す実務が主。即戦力性が問われやすい
  • 自治体中心の会社・地域企業:導入初期の体制づくりに関わる。手探りの部分がある代わりに裁量が大きい

なお、地域を基盤とするC・D等級の企業においてICT施工を経験した企業は受注企業全体の約6割(58.4%=3,287社中1,921社)と着実に増加しており、中小建設業への普及促進の取組が引き続き実施されるとされています。中部地方整備局管内で見ると、ICT土工の受注者普及率は平成29年度末の53%から令和5年度末の78%まで上昇しています。地域の中小企業が導入フェーズに入っているというのが、2026年時点の構図です。

ギャップ②:機器は持っているが、実作業は外注している

2つ目のギャップはより直接的に求人に影響します。同じ資料では、ICT活用工事はアウトソーシングで実施する傾向が指摘され、次の調査結果が示されています(N=521工事)。

  • 起工測量のデータ処理について、3次元データを自ら作成できるのは3割程度
  • 測量機器は保有しているが、測量作業は外注が多い
  • 一方で出来形管理は自社実施が多い

このギャップが意味すること

「ICT施工が9割で実施されている」という事実と、「自社で3次元データを作れるのは3割」という事実は矛盾しません。残りの7割分の作業が、外部に流れているということです。

その結果、求人が出る場所は2つに分かれます。

1. 受託側(測量会社・ドローン事業者・データ処理会社) 外注を受ける側には実作業の需要が集まります。飛行・撮影、SfM処理、点群処理、成果物作成といった手を動かす仕事です。「自分で飛ばしたい」「データを触りたい」という方が狙うべきはこちらです。

2. 発注管理側(建設会社の施工部門・ICT推進部門) 施工会社側では、外注先を選び、提出された成果を要領に照らして確認する役割が必要になります。出来形管理は自社実施が多いという結果は、この領域の人手が社内で必要とされていることを示しています。施工管理経験者が評価されやすい領域です。

今、転職・副業希望者が知っておくべき3つのポイント

① 「操縦できる人」より「要領を満たせる人」が求められている

国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)」(令和7年3月)が求めているのは、計測性能(地上画素寸法10mm/画素以内)、測定精度(±50mm以内)、カメラキャリブレーション及び精度確認試験結果報告書、UAVの保守点検記録(製造元等による保守点検を1年に1回以上)、3次元設計データチェックシートです。

操縦そのものへの規定はありません。2026年時点で差がつくのは、精度を数字で証明し、書類にできるかという点だと考えられます。

② 必要なソフトウェアは複数にまたがる

同じ要領では、使用するソフトウェアとして3次元設計データ作成、写真測量、点群処理、出来形帳票作成、出来高算出の各ソフトを施工計画書に記載し、確認することとされています。1つのツールを覚えれば足りる領域ではありません。逆に言えば、どれか1つを実データで扱えることが応募時の具体的な材料になります。

③ BIM/CIM側からの需要も続いている

国土交通省はBIM/CIMについて、令和5年度から小規模を除くすべての詳細設計・工事で原則適用としており、「BIM/CIM取扱要領」も年度ごとに更新されています(最新は令和8年3月版)。3次元データを扱う人材の需要は、ドローンの飛行とは別の経路でも生まれています。測量分野の動向は2026年のドローン測量 求人トレンド|制度整備と市場データの2軸から「どこに人が要るか」を読むも参考になります。

これからの土木ドローン業界に求められること

公開情報から読み取れる方向性は3つです。

1つ目は、自治体案件への展開です。 都道府県・政令市の実施率が2割台である一方、直轄が9割に達している状況は、今後の伸びしろが地方公共団体側にあることを示しています。地域に根ざした会社で導入を進められる人材の価値は上がると考えられます。

2つ目は、外注構造の中での専門分化です。 測量作業が外注される傾向が続くなら、受託側では「飛ばす」「処理する」「成果にする」が分業として成立していきます。すべてを一人でやる必要はなく、1つの工程で深さを持つ選択肢が現実的です。

3つ目は、小規模工事への対応です。 現行の要領では土工について「1箇所あたりの施工規模が1,000m3以上となる土工区分に適用する」という条件があり、国土交通省の資料でも小規模工事に向けた取組が議題に挙げられています。小規模工事にどこまで広がるかは、地域企業の求人数に直接影響する論点です。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年から土木ドローンの分野に入るのは遅いですか?

遅いとは言えないと考えられます。直轄工事は普及が進んでいますが、都道府県・政令市の実施率は24%で、伸びしろが残っています。また自社で3次元データを作成できるのが3割程度という状況は、担い手が足りていないことを示しています。むしろ「要領が整備されて何をすればよいかが明文化された後」に入れる点は、数年前より条件が良いという見方もできます。

Q. 求人はどの職種が増えそうですか?

断定はできませんが、公開データから需要が読めるのは次の領域です。外注を受ける側の計測・データ処理(起工測量、SfM処理、点群処理、成果作成)と、施工会社側の外注管理・出来形管理です。前者は手を動かす仕事、後者は要領に照らして判定する仕事という違いがあります。

Q. 年収は上がりますか?

ドローンを扱えることだけで年収が上がると断定することはできません。土木分野では、発注者への提出物に責任を持てる立場(主任技術者・監理技術者や、測量の管理技術者)に近いほど処遇が上がる構造があり、ドローンはその中の手段の1つという位置づけです。収入を左右する構造については2026年のドローン操縦士 年収トレンド|「平均年収」の前に確認すべき収入を左右する4つの構造をご覧ください。

Q. 土木・建築分野の市場が2.8倍になるなら、求人も2.8倍になりますか?

そう単純には連動しないと考えられます。i-Construction 2.0の目的は省人化(2040年度までに少なくとも3割)であり、市場の拡大と人員の増加は必ずしも比例しません。増えるのは「少ない人数で回すための技術を扱える人」の需要で、作業量に応じた人員増とは性質が異なります。

Q. どの地域で求人が出やすいですか?

地域差はあります。中部地方整備局管内の令和5年度末のICT土工普及率は、静岡県92%、愛知県84%、岐阜県73%、長野県73%、三重県68%と県によって差がありました。普及率が高い地域は実務の需要、低い地域は導入支援の需要と、求められるものが変わる可能性があります。応募先の施工エリアと発注者を確認する価値があります。

まとめ

2026年の土木ドローン求人を読むときは、市場規模より2つのギャップを見てください。

  • 発注者階層のギャップ:直轄は実施率約9割で実務フェーズ、都道府県・政令市は24%で導入フェーズ
  • 役割分担のギャップ:3次元データを自社で作れるのは3割程度で、測量作業は外注が多い。出来形管理は自社実施が多い

このギャップが埋まる場所に求人が出ます。具体的には、外注を受ける受託側の計測・データ処理と、施工会社側の外注管理・出来形管理です。そして評価されるのは操縦技術ではなく、要領が求める精度を数字で証明し、書類にできる力だと考えられます。

お問い合わせはこちら

「自分の経験はどのギャップ側で評価されるのか」「どの地域・どの発注者を主戦場にする会社を選ぶべきか」は、求人票からは読み取りにくい部分です。ドロテンでは、業界の状況を知りたいという段階のご相談も承っています。まずは情報交換だけでも構いません。


著者:ドロテン運営事務局 ドローン業界特化の転職・副業紹介サービス「ドロテン」の編集チームです。制度・資格・求人の情報は、国土交通省・国土地理院等の一次情報を確認したうえで掲載しています。

ドローン業界特化の転職・副業サポート

記事を読んで気になった方は、無料相談へ

未経験・資格なしからの相談も歓迎。あなたの状況に合わせて、求人・資格取得・副業の始め方をご案内します。

無料相談に申し込む 求人を探す

関連記事

ドローンの転職・副業を探すなら

まずは無料相談から。
あなたに合う求人をご紹介します

「未経験だけど大丈夫?」「副業からはじめたい」「今の年収より上げたい」——ドローン業界に詳しい担当者が、非公開求人を含めてご案内します。