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ドローン国家資格を取った後に転職が決まる人は何をしているのか|制度から逆算できる4つの再現ステップ

「二等を取ったのに、応募しても話が進まない」——この状態は、資格そのものが評価されていないのではなく、資格が解禁した飛行と、応募先が必要としている飛行がかみ合っていないときに起きます。

最初にお伝えしておきたいことがあります。この記事では、実在する個人の体験談やインタビューは掲載しません。ドロテンでは架空の事例を作らない方針を取っているためです。その代わりに、国土交通省が公表している制度資料から「国家資格が実務で効く場面」を特定し、そこから逆算して再現できる4つのステップとして整理します。

結論を先に述べると、取得後に転職が決まる人は、資格の等級ではなく「限定解除」と「応募先の飛行形態」を揃えています。

転職を検討し始める背景として多いパターン

ドローン業界への転職相談でよく見られる入り方は、おおまかに次の3通りに分かれます(一般的な傾向として紹介するものです)。

  • 業務でドローンを使い始めた流れから:測量・施工管理・設備点検などの仕事で機体を触る機会があり、専門にしたくなった
  • 資格を先に取ってから:スクールで二等を取得し、その資格を使える仕事を探し始めた
  • 異業種から未経験で:映像制作・営業・ITなど別分野の経験を持ち、成長分野として検討し始めた

このうち2番目の「資格を先に取ってから」の入り方が、最もつまずきやすいと考えられます。理由は単純で、資格は飛行を解禁するものであって、仕事を発生させるものではないからです。

国土交通省も、技能証明の取得は「無人航空機の飛行において必須事項ではありません」としています。制度が「免許がないと飛ばせない」形になっていないため、資格の保有だけでは採用側の判断材料になりにくい構造があります。

「取得後に決まる人」が踏んでいる4つのステップ

ステップ①:自分の技能証明が「どの飛行まで解禁しているか」を確認する

技能証明には、機体の種類(回転翼マルチローター/回転翼ヘリコプター/飛行機)と、限定(目視内飛行・日中飛行・最大離陸重量25kg未満)が紐づいています。この限定が付いたままでは、目視外飛行や夜間飛行を含む業務には使えません。

ここが実務上の分かれ目になります。たとえば国土交通省航空局が令和5年12月に新設したレベル3.5飛行では、操縦者の要件が次のように定められています。

> 操縦者が無人航空機操縦者技能証明(飛行させる無人航空機の種類、重量に対応したものであって、目視内飛行の限定解除を受けたもの)を保有していること

同資料では「一等/二等の種別は問いません」とも明記されています。つまりレベル3.5飛行の現場では、一等かどうかより「目視内飛行の限定解除を受けているか」が決定的です。二等しか持っていないことが不利なのではなく、限定解除をしていないことが不利になります。

まずは自分の技能証明書に、どの限定が残っているかを確認するところから始めます。

ステップ②:資格が「申請の手間を減らす」場面を押さえる

採用側が資格保有者を採る実利は、ほとんどの場合申請工数の削減です。国土交通省の整理では、立入管理措置を講じた上で、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体(総重量25kg未満)を飛行させる場合、DID上空・夜間・目視外・30m未満の飛行について許可・承認の手続きが不要になります。

一方で、空港等周辺・150m以上の高度・催し場所上空・危険物輸送・物件投下、および25kg以上の機体は、技能証明があっても個別の許可・承認が必要です。

この違いを理解していると、面接で「自分を採ると何の工数が減るのか」を具体的に説明できます。「資格を持っています」で止まる人と、「御社が月○件出している目視外の申請が不要化できます」まで言える人では、同じ資格でも評価が変わります。

ステップ③:資格が要件化されている飛行形態の求人に絞る

国土交通省のレベル4飛行ポータルサイトでは、飛行形態が次のように定義されています。

飛行レベル 内容 例示されている用途
レベル1 目視内で操縦飛行 空撮、橋梁点検
レベル2 目視内で自律飛行 農薬散布、土木測量
レベル3 無人地帯での目視外飛行 輸送実証実験
レベル4 有人地帯での目視外飛行 (第一種機体認証・一等技能証明・許可承認が必要)

ここにレベル3.5が加わります。レベル3.5はカテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に該当し、山・海水域・河川・湖沼・森林・農用地等といった人口密度が低い地域で、機上カメラにより飛行経路直下が無人地帯であることを確認して行う飛行です。

求人を見るときの実務的な基準はこうなります。

  • レベル1〜2中心の業務(屋内撮影、目視内の測量・散布)→ 資格は歓迎要件に留まりやすい
  • レベル3/3.5を行う業務(山間部の物流、インフラ点検、道路・鉄道をまたぐ飛行)→ 技能証明+目視内飛行の限定解除が実質的な前提
  • レベル4を行う業務 → 一等技能証明+第一種機体認証が必要だが、第一種機体認証は令和6年9月30日時点で4件にとどまる

つまり、二等+限定解除で最も実需に当たりやすいのはレベル3/3.5の領域だと考えられます。職種別の求人の広がりはドローンパイロットの転職先はどう比較する?求人が出ている6分野を資格要件と未経験可否で徹底比較もあわせてご確認ください。

ステップ④:前職の業務領域とセットで提示する

レベル3.5の要件には、技能証明以外に第三者賠償責任保険への加入と機上カメラによる無人地帯の確認体制が含まれます。さらに国交省資料では、申請時に提出が不要でも事業者側で具備すべき資料として、リスクを考慮した運航条件の設定資料、追加基準への適合資料、過去の飛行実績または訓練実績を記載した資料、立入管理区画を地図上に示した資料などが挙げられています。

これは、現場が必要としているのが「飛ばせる人」だけではなく、運航の書類と安全管理を回せる人でもあることを意味します。したがって、次のような前職経験は資格と組み合わせて強く効くと考えられます。

前職の領域 組み合わせたときに効く理由
測量・施工管理 立入管理区画の設定、現場調整、成果物の精度管理に直結する
電気・設備・プラント点検 点検対象側の知識があり、撮影すべき箇所の判断ができる
安全管理・品質管理 運航マニュアル・リスク評価資料の作成が実務経験として通用する
映像制作 空撮の構図・編集まで一人で完結でき、外注コストを下げられる
IT・ソフトウェア 点群処理、解析、飛行計画の自動化などデータ側で価値を出せる

資格と業務領域の掛け算で考える具体的な方法はドローン国家資格は転職にどう効く?「資格どうし」ではなく「ドローン資格×業務領域の資格」で比較する選び方で解説しています。

【データ】資格の希少性は「等級」より「限定解除」で見る

国土交通省の資料によると、令和6年9月30日時点の運用状況は次のとおりです。

項目 件数(令和6年9月30日時点)
一等ライセンス交付数 1,999件
二等ライセンス交付数 15,997件
登録講習機関 555件(749スクール)
登録機体数 417,313機
機体認証書交付数 14件(第一種4件・第二種10件)
型式認証書交付数 6件(第一種1件・第二種5件)
飛行の許可承認件数 67,430件(令和5年度)

この表で注目したいのは、許可承認が年間6万件規模で発生している一方、機体認証はまだ14件という対比です。許可・承認を不要化できる組み合わせ(技能証明+機体認証)が普及しきっていないため、現場では依然として申請業務が回っていることが読み取れます。

言い換えると、「申請を含めた運航まわりを担える人材」の需要は制度側の数字からも裏づけられると考えられます。インフラ点検領域での資格要件の実情はドローンのインフラ点検に必要な資格は何?答えが3通りに割れる原因を「誰に課される要件か」で切り分けるもご覧ください。

資格取得後に止まってしまう典型パターン

逆に、取得後に動きが止まりやすいのは次の3つです。

1. 限定解除をしていない:目視内・日中の限定が残っていると、レベル3/3.5の業務要件を満たせません 2. 資格だけを職務経歴書の先頭に置いている:採用側は「何ができるか」を見ているため、資格の記載だけでは判断材料になりにくいです 3. 学科試験合格の有効期限を把握していない:指定試験機関は、学科試験の合格証明番号の有効期限を「合格の正式な通知日から起算して2年間」としています。実地試験や申請を後回しにすると失効する可能性があります

3番は意外に見落とされます。また技能証明そのものの有効期限も3年で、更新は有効期間満了日の6か月前から1か月前までに申請が必要とされています。

よくある質問(FAQ)

Q. 二等でも転職は決まりますか?

A. 決まり得ます。レベル3.5飛行の要件では「一等/二等の種別は問いません」と明記されており、問われるのは機体の種類・重量に対応していることと、目視内飛行の限定解除を受けていることです。志望業務がカテゴリーⅢ飛行(レベル4)を含まない限り、二等+限定解除で要件を満たせる領域は広いと考えられます。

Q. 限定解除は後から追加できますか?

A. できます。指定試験機関の手数料表には実地試験の「限定変更」区分が設けられており、回転翼(マルチローター)の場合、一等が20,800円、二等が19,800円と公表されています。技能証明書側の限定変更申請の交付手数料は2,850円です。

Q. 資格を取ったのに応募が通りません。何を変えればよいですか?

A. 「資格を持っている」から「御社のどの申請・どの飛行を代替できる」への言い換えが有効と考えられます。そのためには、応募先が行っている飛行がレベル1〜2なのか、レベル3/3.5なのかを求人票や会社情報から特定しておく必要があります。書類の組み立て方はドローン国家資格を取ってから転職するまでの手順|「二等を取る」の前後に必要な3つの決め事で整理しています。

Q. レベル3.5なら第三者の上空を飛べるのですか?

A. 飛べません。国土交通省航空局の資料では、レベル3.5は「歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではありません」と明記されています。可能になるのは、一定の要件下での道路・鉄道等の一時的な横断(自動車・鉄道車両・船舶の上空の一時的な横断)です。また、立入管理措置そのものが不要になるわけではなく、撤廃されるのは補助者の配置や看板の設置等の手段です。

Q. 未経験でも、資格を取れば飛ばす仕事に就けますか?

A. 資格だけでは断定できません。制度上は資格がなくてもカテゴリーⅠの飛行は可能であり、採用側は実務での安全管理や前職経験もあわせて見ています。資格の有無で応募できる範囲がどう変わるかはドローン国家資格は転職に必要?「必須」と「不要」が混在する3つの原因を航空法のカテゴリー区分で切り分けるで切り分けています。

まとめ

資格を取ったあとに足が止まるのは、能力の問題ではなく情報の順番の問題であることが多いです。制度側から逆算すると、やることは4つに絞られます。

1. 自分の技能証明に残っている限定(目視内・日中・25kg未満)を確認する 2. 資格によって不要化できる申請と、資格があっても必要な許可を区別して言語化する 3. 応募先の飛行形態がレベル1〜2か、レベル3/3.5かを特定して絞り込む 4. 前職の業務領域(測量・設備・安全管理・映像・IT)とセットで提示する

せっかく時間とお金をかけて取得した資格です。「どの現場に当てると効くのか」が見えないままにしておくのは、もったいない状態だと考えています。現在お持ちの等級と限定の状況を教えていただければ、どの領域の求人が要件に合うかを一緒に整理します。

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著者情報

ドロテン運営事務局(ドローン業界特化の転職・副業紹介サービス「ドロテン」の編集チーム)

参考・出典

  • 国土交通省 航空局 無人航空機安全課「カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について」(令和6年2月)https://www.mlit.go.jp/koku/content/001725836.pdf
  • 国土交通省「レベル4飛行ポータルサイト」https://www.mlit.go.jp/koku/level4/index.html
  • 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明制度」https://www.mlit.go.jp/koku/license.html
  • 国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html
  • 国土交通省「次世代航空モビリティに関する検討状況について」https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001767892.pdf
  • 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明書の交付手数料額」https://www.mlit.go.jp/koku/content/001572203.pdf
  • 無人航空機操縦士試験(指定試験機関:一般財団法人日本海事協会)「技能証明試験の種別・手数料」https://ua-remote-pilot-exam.com/certificate/
  • 無人航空機操縦士試験「学科試験」https://ua-remote-pilot-exam.com/guide/written-examination/

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