ドローン国家資格を取ってから転職するまでの手順|「二等を取る」の前後に必要な3つの決め事

ドローン国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を取るところから転職を考えると、多くの人が「どのスクールに申し込むか」から検討を始めます。しかしスクール選びは3番目に来る判断です。先に決めるべきことが2つあり、その順番を間違えると、取った資格で仕事ができないという事態が起こります。
結論を先に書くと、進め方は次の3ステップです。
1. どのカテゴリーの飛行をする仕事を狙うかを決める(一等/二等が自動的に決まる) 2. 必要な限定変更と無線の要否を業務内容から確定させる 3. 取得ルート(登録講習機関か直接受験か)を選び、応募と並行して進める
この記事では、各ステップで何を確認するのかを制度に基づいて説明します。
なぜ「国家資格から始める」で失敗しやすいのか
資格を先に取ってしまった人がつまずく理由は、主に3つあります。
- 技能証明だけでは特定飛行が完結しないから:技能証明は機体認証や立入管理措置などと組み合わせて初めて機能する
- 限定の範囲外は飛ばせないから:基本の技能証明だけでは、夜間飛行や目視外飛行が必要な業務に対応できない
- 職種能力の証明にはならないから:求人票の「必須」には測量・土木・電気といった業務領域の資格が入りやすい
3つ目の構造についてはドローン国家資格は転職にどう効く?「資格どうし」ではなく「ドローン資格×業務領域の資格」で比較する選び方で整理しています。ここでは1つ目と2つ目を具体的に見ていきます。
ステップ1:狙う仕事の「飛行カテゴリー」を決める
カテゴリーが決まれば、一等か二等かは自動的に決まる
国土交通省の制度では、無人航空機の飛行はリスクに応じてカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲに区分されています。どの資格を取るかは好みで選ぶものではなく、やる仕事のカテゴリーで決まります。
| 狙う仕事の飛行 | 必要な技能証明 | 組み合わせる機体認証 | 飛行ごとの許可・承認 |
|---|---|---|---|
| カテゴリーⅢ(第三者の立入りを管理しない補助者なし目視外飛行=レベル4) | 一等無人航空機操縦士 | 第一種機体認証 | 国土交通大臣の許可・承認が必要 |
| カテゴリーⅡ(立入管理措置を講じた特定飛行) | 二等無人航空機操縦士 | 第二種機体認証 | 一定の特定飛行では申請不要 |
| カテゴリーⅠ(特定飛行に該当しない飛行) | 不要 | 不要 | 不要 |
ここで重要なのは、カテゴリーⅡで「申請不要」になるのは一部の特定飛行に限られるという点です。二等の技能証明と第二種機体認証を揃えたうえで、飛行経路下の第三者の立入管理措置を実施することが前提になります。飛行マニュアルの作成など、安全確保のために必要な措置を講じることも求められます。
つまり「二等を取れば自由に飛ばせる」わけではありません。資格・機体・措置の3点セットで初めて機能します。
確認のしかた
狙う分野の求人を2〜3件見て、次を確認してください。
- 求人票に一等/二等の指定があるか
- 業務が市街地(DID地区)上空や夜間を含むか
- 補助者なしの目視外飛行が前提になっているか
求人票だけで分からなければ、面談で聞いて問題ありません。飛行計画を答えられない会社は、そもそも運用体制が固まっていない可能性があります。
ステップ2:限定変更と無線の要否を確定させる
限定変更:合格した範囲でしか飛ばせない
技能証明には限定が設定されています。機体の種別は「回転翼航空機(マルチローター)」「回転翼航空機(ヘリコプター)」「飛行機」に分かれ、さらに最大離陸重量25kg未満・目視内飛行・昼間飛行の区分があります。限定は合格した範囲でのみ特定飛行が認められるしくみです。
| 業務に含まれるもの | 必要になる限定変更 |
|---|---|
| 日中・目視内の点検や空撮のみ | 基本の技能証明で足りる場合がある |
| 夜間の点検・撮影 | 昼間限定の解除 |
| 広域の目視外飛行 | 目視内限定の解除 |
| 25kg以上の産業用機体(農薬散布機など) | 25kg未満限定の解除 |
ここを確認せずに基本だけ取ると、現場で飛ばせません。とくに農薬散布や大型の産業用機体を扱う分野では25kg未満限定の解除が前提になることがあります。
無線:使う周波数帯で要否が変わる
電波法側の確認も必要です。
| 周波数帯 | 主な用途 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| 2.4GHz帯 | 一般向けドローン | 技適マークがあれば原則不要 |
| 5.7GHz帯 | 産業用ドローン | 第三級陸上特殊無線技士以上 |
| 5.8GHz帯(FPV・個人利用) | 趣味のレースなど | 第四級アマチュア無線技士以上 |
| 5.8GHz帯(FPV・業務利用) | 空撮業務など | 第三級陸上特殊無線技士以上 |
無線従事者免許は技能証明より取得負担が軽いことが多く、産業用機体やFPVを扱う分野では費用対効果が高い部類です。扱う機体を面談で確認してから判断してください。
ステップ3:取得ルートを選び、応募と並行で進める
登録講習機関を使うルートと、直接受験するルート
技能証明の取得には、登録講習機関の講習を修了して試験に臨むルートと、講習を経ずに直接受験するルートがあります。国土交通省の制度説明では技能証明書の取得自体が必須事項ではないとされており、登録講習機関の利用も必須ではありません。
試験は学科試験・実地試験・身体検査で構成されます。一等については、身体検査を医師または医療機関で実施する必要があるとされています。交付時には交付手数料がかかり、一等ではあわせて登録免許税の納付も必要です。
| 比較項目 | 登録講習機関を使う | 直接受験する |
|---|---|---|
| 費用 | 講習費用がかかる | 試験手数料のみで抑えられる |
| 実地試験 | 修了審査により試験の一部が扱いやすくなる | 自力で実地試験に合格する必要がある |
| 向いている人 | 操縦経験が少ない人 | すでに実務で飛行経験がある人 |
JUIDAやDPAなどの民間団体のスクールは、多くが登録講習機関を兼ねています。「民間資格と国家資格のどちらを取るか」ではなく、民間団体のスクールを国家資格への経路として使うのが現在の実態です。
応募を止めずに並行させる
資格の取得完了を待ってから応募を始める人が多いのですが、並行させたほうが確実です。理由は次の3つです。
- どの限定変更が必要かは、応募先を知らないと決まらない
- 「入社後取得可」「取得費用補助あり」としている求人がある
- 選考を通じて、業界で実際に求められる要件が分かる
並行の進め方は未経験からドローンパイロットに転職する手順|資格取得と応募を並行させる3ステップで詳しく解説しています。
未経験・独学で不安な場合の選択肢
「いきなり数十万円は出せない」という場合、次の順で負担を小さく始められます。
1. 100g以上の機体の登録を済ませ、カテゴリーⅠの範囲で飛行経験を積む 特定飛行に該当しない飛行であれば技能証明は不要です。機体の扱いに慣れるところから始められます。 2. 無線従事者免許を先に取る 産業用やFPVを狙うなら、技能証明より負担が軽いこちらを先に取る手があります。 3. 業務領域の資格を先に固める 測量を狙うなら測量士補、点検を狙うなら土木・電気系の資格のほうが、求人票の「必須」に当たりやすいと考えられます。 4. 取得費用補助のある求人に応募する 資格取得支援を打ち出している求人であれば、自己負担を抑えられる可能性があります。
資格は「取ってから探す」ものではなく、「探しながら必要なものを取る」ものと考えるのが、費用面でも時間面でも合理的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 二等を取るのにどれくらい期間がかかりますか?
登録講習機関のコースや、操縦経験の有無によって幅があります。経験者向けと初学者向けでカリキュラムの時間が異なるため、同じ「二等」でも必要な期間は人によって変わります。具体的な期間は検討しているスクールに確認するのが確実です。なお技能証明の有効期間は3年で、更新には身体適性の確認と更新講習の修了が必要とされています。
Q2. 二等を取れば許可・承認の申請は不要になりますか?
一部の特定飛行については不要になりますが、条件があります。二等の技能証明と第二種機体認証を揃え、飛行経路下の第三者の立入管理措置を実施し、飛行マニュアルの作成など安全確保のために必要な措置を講じることが前提です。「二等を取るだけ」では申請不要になりません。
Q3. 資格がない状態で応募しても意味がありますか?
意味はあります。航空法が規制しているのは飛行の態様であり、資格がないこと自体が就業の妨げになるわけではありません。カテゴリーⅠの範囲の業務や、許可・承認を取って運用する体制の会社であれば、資格なしで入って社内で取得する道もあります。詳しくはドローンパイロットへの転職は資格なしでも可能?できる仕事とできない仕事を航空法から切り分けるをご覧ください。
Q4. 一等を取れば転職で一気に有利になりますか?
カテゴリーⅢ(レベル4)の飛行を前提とする仕事では評価されますが、そうでない現場では費用に見合わない可能性があります。一等は身体検査を医師または医療機関で受ける必要があり、交付時に登録免許税も発生します。応募先の飛行計画を確認してから判断することをおすすめします。
Q5. 独学で実地試験に合格できますか?
直接受験のルートは制度上用意されているため、可能性はあります。ただし実地試験は機体種別ごとに基準が設定されており、操縦経験がない状態で合格するのは難しいと考えられます。すでに実務で飛行経験がある人には選択肢になりますが、未経験から始めるなら登録講習機関を使うほうが現実的でしょう。
まとめ
ドローン国家資格から転職につなげる手順は、次の順番で考えてください。
1. 狙う仕事の飛行カテゴリーを決める → 一等か二等かが自動的に決まる 2. 限定変更と無線の要否を業務内容から確定させる → 基本だけでは飛ばせない業務がある 3. 取得ルートを選び、応募と並行して進める → 必要な限定は応募先を知らないと決まらない
そして押さえておきたいのが、技能証明は単体では機能しないという点です。カテゴリーⅡで申請を省くには、機体認証・立入管理措置・飛行マニュアルまで揃える必要があります。「資格を取れば仕事ができる」という前提で動かないことが、遠回りを避ける最大のポイントです。
最初の一歩の踏み方はドローン操縦士になるには何から始める?資格取得から仕事に就くまでの3ステップもあわせてご覧ください。
参考にした一次情報
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明制度」「機体認証等」「無人航空機の飛行カテゴリー(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」
- 無人航空機操縦士試験 指定試験機関「無人航空機操縦者技能証明制度の概要」
- 電波法に基づく無線従事者免許(総務省)およびドローンで使用する周波数帯の区分
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「どのカテゴリーの仕事を狙うべきかが、まだ決まっていない」という段階でかまいません。むしろその段階でご相談いただくほうが、無駄な資格費用を抑えられます。情報交換だけでも歓迎しています。
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著者:ドロテン運営事務局(ドローン業界特化の転職・副業紹介サービス「ドロテン」の編集チーム)


