ドローン操縦士になるには何から始める?資格取得から仕事に就くまでの3ステップ

ドローン操縦士になるために、まず押さえておくべき事実が1つあります。日本には「ドローン操縦士」という資格がなければ飛ばせない、という仕組みは存在しません。国土交通省は、無人航空機操縦者技能証明について「取得は必須ではなく、特定の飛行条件でのみ必要」と説明しています(国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」)。
つまり「資格を取ればドローン操縦士になれる」わけでも、「資格がなければ何もできない」わけでもありません。この記事では、制度の実際に沿って、申請者番号の取得から仕事に就くまでの具体的な工程を3ステップで整理します。
なぜ「ドローン操縦士になる」でつまずきやすいのか
未経験から目指す人が足踏みする理由は、おおむね次の3つに集約されます。
- 資格と仕事の関係が分からない:技能証明は「特定の飛行をするための証明」であって、就職を保証するものではありません。この前提を押さえないまま資格取得だけを目的にすると、取得後に進路が見えなくなります
- 費用の全体像が見えない:試験手数料と講習費用は別で、さらに限定変更を追加するかどうかで総額が変わります。最初に全体像を把握しないと、途中で予算が尽きます
- 手続きの順番が分からない:申請者番号の取得、講習、試験、交付申請という順番があり、飛ばすとやり直しになる工程があります
「特定飛行」とは何かを先に理解する
重要用語なので定義から確認します。特定飛行とは、航空法上、許可・承認や技能証明が関わってくる飛行の総称です。具体的には次のものが該当します(国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」)。
| 区分 | 該当する飛行 |
|---|---|
| 飛行する空域 | 空港周辺、人口集中地区の上空、地表または水面から150m以上の高さ |
| 飛行の方法 | 夜間飛行、目視外飛行、人または物件から30m未満での飛行、催し場所上空、危険物の輸送、物件の投下 |
仕事として行うドローン業務の多くは、この特定飛行に該当します。空撮で人口集中地区に入る、点検で構造物から30m未満に近づく、農薬散布で物件を投下する——いずれも特定飛行です。だからこそ、実務では技能証明が意味を持ちます。
ドローン操縦士になる3ステップ
ステップ1:技能証明を取得する(一等ではなく二等から)
国土交通省が示す取得の流れは、次の5工程です(国土交通省「無人航空機操縦者技能証明」)。
1. 費用を確認する(講習受講費・受験申請費・交付申請費) 2. 技能証明申請者番号を取得する(オンラインで本人確認) 3. 登録講習機関で学科・実地講習を受講する(修了すると実地試験が免除される) 4. 指定試験機関で受験する(学科試験 → 実地試験 → 身体検査) 5. DIPS2.0で交付申請し、技能証明書を受け取る
ここで実務上もっとも効くのが3番目の「登録講習機関」の使い方です。登録講習機関は、国が定める施設・設備・講師等の要件を満たした民間事業者が登録される制度で、ここで講習を修了すれば指定試験機関での実地試験が免除されます。実地試験を独学で突破するより現実的な経路になるため、多くの人がこのルートを選びます。
費用の目安
指定試験機関の試験手数料は公開されています(無人航空機操縦士試験案内サイト「試験の種別・手数料」)。
| 項目 | 二等 | 一等 |
|---|---|---|
| 学科試験 | 8,800円 | 9,900円 |
| 実地試験(回転翼マルチローター・基本) | 20,400円 | 22,200円 |
| 実地試験(同・限定変更) | 19,800円 | 20,800円 |
| 身体検査(書類での受検) | 5,200円 | 5,200円 |
| 身体検査(会場での受検) | 19,900円 | 19,900円 |
これに加えて、一等は交付時に登録免許税3,000円の納付が必要です。そして上記はあくまで試験にかかる費用で、登録講習機関の講習費用は別途必要になります。講習費用は機関ごとに異なるため、国土交通省は各機関への問い合わせを案内しています。
なぜ二等から始めるのか
一等無人航空機操縦士が必要になるのは、飛行経路下に立入管理措置を講じないカテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行)に関わる場合です。この飛行には第一種機体認証を受けた機体と許可・承認も必要で、対応できる企業は限られます。
一方、二等は立入管理措置を講じたうえで行うカテゴリーⅡ飛行の場面で活きます。空撮、測量、点検、農業といった実際の求人の多くはこの領域です。未経験から目指すなら、二等から入るのが費用対効果の面でも合理的です。
ステップ2:限定変更が必要かを、目指す分野から逆算する
技能証明には「限定」があり、初期状態では飛ばせる条件が制限されています。限定変更を行うことで、次のことが可能になります(国土交通省「無人航空機操縦者技能証明」)。
- 操縦する機体の種類の追加(マルチローター/ヘリコプター/飛行機)
- 最大離陸重量の拡大(25kg以上)
- 昼間飛行に加えて夜間飛行
- 目視内飛行に加えて目視外飛行
ここが分野選びと直結します。
| 目指す分野 | 必要になりやすい限定変更 |
|---|---|
| 空撮・映像制作 | 夜間飛行(夜景・イベント撮影を扱う場合) |
| 測量・インフラ点検 | 目視外飛行(広範囲・長距離の撮影を扱う場合) |
| 農業(農薬散布など) | 最大離陸重量25kg以上、機体種類の追加 |
限定変更は後から追加できます。最初からすべてを取る必要はありません。目指す分野が固まっていない段階で全部取ると、使わない限定に費用を払うことになります。まず基本を取り、分野が決まってから足すのが現実的な進め方です。
ステップ3:資格取得と並行して応募を始める
多くの人が「資格を取ってから応募する」と考えますが、この順番だと機会を逃します。理由は2つあります。
1つ目は、資格取得支援制度を持つ企業が存在することです。業務上その資格を必要としている会社ほど、入社後の取得を支援する仕組みを整えています。取得前に応募すれば、費用を会社が負担してくれる可能性があります。
2つ目は、ドローン業務の求人が操縦技能だけを見ていないことです。測量・点検分野ならデータ処理と現場調整、空撮なら映像制作、物流なら運航管理——「飛ばした後」の業務のほうが比重が大きい職場が少なくありません。前職の経験がそのまま評価される可能性があるため、資格取得を待つ理由が薄いのです。
具体的な応募の進め方は、未経験からドローンパイロットに転職する手順|資格取得と応募を並行させる3ステップに整理しています。
未経験・独学で不安な場合の選択肢
選択肢1:まず資格なしでできる範囲から始める
技能証明がなくても、特定飛行に当たらないカテゴリーⅠの範囲であれば飛行できます。機体登録を済ませたうえで、人口集中地区外の日中・目視内で操縦に慣れるところから始める方法です。何ができて何ができないかの線引きについては、ドローンパイロットへの転職は資格なしでも可能?できる仕事とできない仕事を航空法から切り分けるで解説しています。
選択肢2:前職の専門性を軸に分野を選ぶ
ドローンを「ゼロから始める新しい仕事」と捉えると、未経験というハンデだけが残ります。「今の専門性にドローンを足す」と捉え直すと、選ぶべき分野が決まります。
- 測量・土木・施工管理の経験 → 測量・インフラ点検分野
- 映像制作・写真の経験 → 空撮・映像制作分野
- 農業関連の経験 → 農業分野
- 物流・運行管理の経験 → 物流分野
- ソフトウェア開発の経験 → 解析・システム開発側
選択肢3:企業タイプから逆算して資格を決める
応募先が扱う飛行カテゴリーが分かれば、必要な資格も見えてきます。ドローン操縦士の転職先はどの企業を選ぶ?「扱う飛行カテゴリー」で4タイプを比較するで、求人票から扱うカテゴリーを読み取る方法を説明しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 技能証明がなくても仕事にできますか?
できる場合があります。特定飛行に該当しない飛行(カテゴリーⅠ)であれば技能証明は不要です。ただし、業務としてのドローン飛行は特定飛行に該当することが多いため、仕事の幅は狭くなります。求人票で必須要件になっているかどうかは、応募前に確認してください。
Q. 技能証明に有効期限はありますか?
あります。有効期間は3年間です。更新には、身体適正に関する基準を満たすことの確認と、登録更新講習機関が実施する無人航空機更新講習の修了が必要で、申請は有効期間満了日の6か月前から1か月前までに行う必要があります(国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」)。更新期を逃すと失効するため、取得時に期限を記録しておくことをおすすめします。
Q. 学科試験はどのような形式ですか?
CBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。二等は三肢択一式50問・試験時間30分、一等は三肢択一式70問・試験時間75分とされ、合格に最低限必要な正答率は二等が80%程度、一等が90%程度とされています(無人航空機操縦士試験案内サイト「学科試験」)。
なお、国土交通省は令和8年(2026年)7月14日より、学科試験の内容を「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」に準拠させるとしています。これから学習を始める場合は、第5版に対応した教材を選んでください。
Q. 何歳からでも目指せますか?
年齢そのものが制度上の障壁になることはありません。ただし、実務では前職の経験が評価される場面が多いため、「操縦者として一から」よりも「これまでの専門性にドローンを足す」形のほうが、年齢に関わらず進めやすい傾向があります。
Q. 独学で実地試験に合格することはできますか?
制度上は指定試験機関で実地試験を受ける道もあります。ただし、登録講習機関で講習を修了すれば実地試験が免除されるため、費用と時間の両面で講習ルートを選ぶ人が多いのが実情です。すでに十分な飛行経験がある場合を除き、講習ルートが現実的でしょう。
まとめ
ドローン操縦士になる工程を整理すると、次のようになります。
1. 二等技能証明を取得する:申請者番号の取得 → 登録講習機関での講習 → 指定試験機関での受験 → DIPS2.0で交付申請 2. 限定変更は分野が決まってから足す:夜間・目視外・25kg以上のうち、必要になるものだけを追加する 3. 資格取得を待たずに応募を始める:取得支援制度のある企業があり、前職の経験が評価される分野もある
そして忘れてはいけないのが、技能証明は3年ごとの更新が必要だということです。取得はゴールではなく、業務を続けるための維持コストが発生する資格だと理解しておいてください。
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「どの資格から取ればいいか」「今の経験がどの分野で活きるか」は、目指す方向によって答えが変わります。ドロテンでは、応募を決める前の段階からご相談を受け付けています。
- まずは情報交換だけでも(無料相談):https://lp.drone-tenshoku.com/
- どんな募集があるか見てみる:https://drone-tenshoku.com/jobs/
著者:ドロテン運営事務局 ドローン業界特化の転職・副業紹介サービス「ドロテン」の編集チームです。制度・資格に関する記述は、国土交通省および指定試験機関の公開情報をもとに執筆しています。


